The Red-Headed League Part Two 「赤毛連盟 第二話」日本語訳

NHKのラジオ番組「エンジョイ・シンプル・イングリッシュ(Enjoy Simple English)」では、簡単な英語でいろんなストーリーを楽しむことができます。

この番組には、日本語訳(和訳)が付いていません。「英語で聴きなはれ」というわけです。

でも「日本語訳がほしい」と思う方もいらっしゃいますね。そんな方へ向けて、私の拙訳を公開します。逐語訳ではありません。内容をつかむための参考になさってください。

今回は、かのコナン・ドイル原作 ‘The Red-Headed League’ (赤毛連盟)の第二話です。

赤毛連盟 第二話 日本語訳

赤毛連盟と名乗る奇妙なグループで働いていたウィルソン。しかし、彼はある日、そのグループ事務所のドアにメモが貼ってあるのを見つけた。そのメモには、

「赤毛連盟は解散しました」

と書いてあったのである。

赤毛連盟とは何だったのか。そして、この奇妙なグループは、なぜ突然消えてしまったのか。

*  *  *

ウィルソンは話を続けた。

「赤毛連盟の事務所が入っていたビル内で、私はいろいろな人へこのグループのことを聞いてみました。でも、誰も赤毛連盟のことを知らないんです。。私はどうしていいかわからなくなって、それでホームズさんに会いに来たのです」

「それは正しい選択でしたよ、ウィルソンさん。さて、助手のスポールディングさんはどんな外見ですか」

「背は低いのですが、がっしりした体格です」

「スポールディングさんは、まだあなたの店で働いていますか」

「はい」

その次の日、ホームズと私はウィルソンの店へと出かけた。

ホームズがお店のドアをノックすると、背の低い男が現れた。この男がスポールディングだなと私は思った。ところがホームズは、その男に道を尋ねただけでお店を辞去してしまったのである。

私はホームズに尋ねた。

「スポールディングの顔を確かめるためだけにここに来たのかい?」

ホームズは答えた。

「スポールディングのズボンの膝が見たかったんだ。そして、まさしく僕が想像した通りだったよ。よし、ワトソン。この地域を見て回ろう」

ホームズは、あたりを見回して言った。

「ふーむ。タバコ屋、新聞屋、それから大きな銀行」

そして、こう続けた。

「この銀行から何かを盗もうとしている奴がいる。でも、その犯行を止めることができそうだ。今夜10時、この銀行の前で会おう」

何が起きようとしているのか、私にはよく分からなかった。が、夜になってその銀行へ向かった。

銀行の取締役がホームズと私を地下室へ案内してくれた。そこにはたくさんの箱があった。取締役が言うには、その箱には金貨がぎっしり詰まっているとのことだった。

ホームズが言った。

「ワトソン。この銀行は、ウィルソンさんの店の真後ろに位置してるんだ。この金貨を盗みに来ようとしている奴らがいる。ここで待ち構えて、捕まえてやろうじゃないか」

数時間が過ぎて、懐中電灯の明かりが見えた。そして、二人の男が地下室に入ってきた。一人はスポールディングで、もう一人は私の知らない赤毛の男だった。

ホームズはその二人を見ると、素早く走り寄って捕まえた。そして言った。

「スポールディング、お前が何をしていたか分かっているぞ。ウィルソンさんが赤毛連盟で働いている間に、お前はウィルソンさんの店の地下室からトンネルを掘り進めていたんだな! お前はそのトンネルを銀行の地下室まで掘り進めた。この金貨を盗むためにだ!」

*  *  *

次の日の朝、私は、どうやってこの謎を解いたのか、ホームズに尋ねてみた。ホームズは言った。

「昨日の午後、ウィルソンさんのお店でスポールディングに会ったとき、奴のズボンの膝が汚れていたんだ。それで『こいつトンネルを掘っているな』と分かった」

「どうして奴らが、昨日の夜、銀行に来ると分かったんだ?」

「赤毛連盟が事務所を閉じてしまったのは、奴らがトンネルを掘り終えたからだ。スポールディングともう一人の男―ダンカン・ロス―は出来るだけ早くトンネルを使いたがるだろうと思ったし、それには土曜の夜が最高のタイミングだろうと思った」

「ああ・・・君は本当にすごい探偵だ、ホームズ。脱帽だよ」

「また一つ、われわれは謎を解いてしまったな。しばらくは退屈そうだ」

(「赤毛連盟」終)