The Red-Headed League Part One 「赤毛連盟 第一話」日本語訳

NHKのラジオ番組「エンジョイ・シンプル・イングリッシュ(Enjoy Simple English)」では、簡単な英語でいろんなストーリーを楽しむことができます。

この番組には、日本語訳(和訳)が付いていません。「英語で聴きなはれ」というわけです。

でも「日本語訳がほしい」と思う方もいらっしゃいますね。そんな方へ向けて、私の拙訳を公開します。逐語訳ではありません。内容をつかむための参考になさってください。

今回は、かのコナン・ドイル原作 ‘The Red-Headed League’ (赤毛連盟)の第一話です。

かつて、小学校の図書室でこの話を読みました。百科事典を黙々と書き写す赤毛の男・・・その異様な姿を描いた挿絵が記憶に残っています。では、どうぞ。

赤毛連盟 第一話 日本語訳

ある秋の日、私が友人のシャーロック・ホームズを訪ねると、ホームズは50代くらいの赤毛の男性と話しているところだった。

ホームズは言った。「入りたまえ、ワトソン。そして、ジェイビーズ・ウィルソンさんの奇妙な話を聞いてくれ」

「了解」私がそう言って腰掛けると、ウィルソンさんが話し始めた。

「すべては、この新聞広告から始まったのです」

そう言って、ウィルソンさんはその広告を見せてくれた。そこにはこう書いてあった。

「赤毛連盟は今、新しい会員を探しています。あなたは簡単な仕事で週に4ポンドを得られます。われわれは、21歳以上で健康な赤毛の男性を探しています。

ご興味がおありの方は、われわれの事務所へいらしてください。事務所はフリート通りにあります。月曜日の午前11時にお待ちしています」

ホームズは笑みを浮かべて言った。

「それで、ウィルソンさん、何が起きたか教えてください」

「ええ。私はサクセコバーグ・スクエアで小さい店を営んでいます。店では、ビンセント・スポールディングという男が助手として働いています。

たいして儲かってはいません。でも、スポールディングは『お店のオーナーとしてのスキルを学びたいから、給料が安くてもいい』と言うのです」

「興味深い…」

ウィルソンさんは話を続けた。

「スポールディングがその広告を私に見せてくれたのは、だいたい2ヶ月前のことでした。

スポールディングが言うには『赤毛連盟はとても裕福な赤毛の男性が作った』とのことで、その男性は、亡くなる際にあるメッセージを残したそうです。『私は赤毛の男たちを助けたい。だから彼らのために財産を残そう』と。

スポールディングは『赤毛のウィルソンさんには、簡単な仕事でお金を稼げるチャンスがある』と言って、うらやましがっていました。

とても良い話に思えましたので、広告で指定された月曜日、私は赤毛連盟のオフィスに行ってみました。スポールディングも一緒に来てくれました」

「なるほど。そして、何が起きたんですか?」

「赤毛連盟の事務所には、たくさんの赤毛の男たちが押しかけてきていました。それを見て、中に入ることさえできそうにないと思ったのですが、でもスポールディングが助けてくれて、事務所の中に入ることができたんです。

事務所の中には、私よりももっと真っ赤な髪をした小さな男がいました。この男が新しい会員を選んでいたんです。

その男は、私を見ると笑顔を浮かべました。そして、私の髪の毛を手に取るように見て、こう言ったんです。『おめでとうございます! あなたを採用します。いつ仕事を始められますか?』と。

私はとても驚いて『私は自分の店の仕事があるから』と言いました。でもスポールディングが『ウィルソンさんは、もう私にたくさんのことを教えてくれたじゃないですか。だから、ウィルソンさんがここで働いている間、私がお店を預かりますよ』と言うんです」

「ふーむ」

「ダンカン・ロスと名乗ったその背の低い男は『午前10時から午後2時まで働くように、また、その時間帯は建物から外に出ないように』と私に指示しました。

仕事内容は、百科事典の書き写しでした。易しそうな仕事でしたし、それに今よりお金を稼げるなら、そりゃあいいことです。私は、その仕事を引き受けることに決めました。

その次の日から働き始めて、2カ月の間ずっと働きました。そして、ある朝のこと、このメモ書きが事務所入口のドアに貼ってあるのを見つけたんです」

ウィルソンは、われわれに一枚の紙片を見せた。そこにはこう書いてあった。

「赤毛連盟は解散しました。1890年10月9日」

( 「赤毛連盟 第二話」に続く)