The Adventure of the Speckled Band Part Two 「まだらのひも 第二話」日本語訳

NHKのラジオ番組「エンジョイ・シンプル・イングリッシュ(Enjoy Simple English)」では、簡単な英語でいろんなストーリーを楽しむことができます。

この番組には、日本語訳(和訳)が付いていません。「英語で聴きなはれ」というわけです。

でも「日本語訳がほしい」と思う方もいらっしゃいますね。そんな方へ向けて、私の拙訳を公開します。逐語訳ではありません。内容をつかむための参考になさってください。

今回は、かのコナン・ドイル原作 ‘The Adventure of the Speckled Band’ (斑の紐 = まだらのひも)の第二話です。

まだらのひも 第二話 日本語訳

「本当に来てくれたのですね。うれしいです」

ヘレン・ストーナーは笑顔でそう言って、ホームズと私ワトソンを迎えた。

ホームズは答えた。「もちろんです。さあ、部屋を見せてください」

ヘレンの部屋はこぢんまりとしていて、ベッドと化粧台と椅子がひとつずつ置いてあった。ホームズは椅子に座り、部屋の中を見回した。そして、急に立ち上がるとベッドの上方から垂れ下がる太いロープを引っ張った。

「ああ、それは使用人を呼ぶためのものです。でも壊れてるんです」ヘレンが言った。

「どうしてそれが通気口から出ているんです? それに、どうしてこの通気口は他の部屋につながってるんです? 外につながるのではなくて・・・実に奇妙なことだ」

ヘレンの継父の部屋は、ヘレンの部屋よりも広かった。

「ヘレンさん、お父さんは猫を飼っているんですか? ミルクをあげるための、小さなお皿がありますね」

「猫は飼っていません。チーターとヒヒだけです」

「でも、このお皿はチーターやヒヒには小さすぎますね」

そして突然、ホームズは大声でこう言い放った。

「これはまずい! ヘレンさん、今夜お父さんが自室に戻ったら、われわれに合図を出してください。窓辺にランタンを置くのが合図です。

そして、窓を開けておいてください。われわれが外から部屋に入れるようにするためです。最後に、もとのあなたの部屋にこっそりと移動して、そのままそこで息を潜めていてください。

ワトソンと私は、窓からあなたの部屋に忍び込み、この謎を解き明かしてみせましょう」

それからホームズと私は近くのホテルに部屋をとり、ヘレンからの合図を待った。

「さて、ホームズ。君は、僕が見ていないナニカを見たんだろう?」

「そうだな、まずはあの通気口だ。ヘレンさんの部屋を見せてもらう前からあのような通気口があるだろうとわかっていた。

覚えているだろう、ヘレンさんのお姉さんがタバコの匂いがすると言っていたことを。それはつまり、あの部屋につながる何かがあるということを意味している。

お! ヘレンさんからの合図だ。行くぞ、ワトソン」

われわれはヘレンが開けておいてくれた窓からヘレンの部屋に忍び込んだ。

ホームズと私は真っ暗な部屋の中に座り、そして待った。待ち続けて何時間も過ぎた頃、通気口からポッと明かりがもれた。そして、笛の音が聞こえてきたのである。

ホームズはベッドから飛び起きると、杖であの奇妙なロープを激しく打ち据えた。

それから程なくして、隣の継父の部屋から鋭い叫び声が聞こえてきたのだった。

ホームズは言った。「これで解決だ」

われわれがヘレンの継父の死体を発見したとき、ホームズは静かに言った。

「ひも。まだらのひも」

継父の頭には、1匹の蛇が巻きついていた。

「ワトソン。これはとても危険な毒蛇だ。インドに生息している。この蛇の毒は、どんな検査でも見つけることができないんだ」

家路の途中、ホームズはすべてを説明してくれた。

あの継父は、自分の妻―つまり姉妹の母だが―の遺した財産がすべて欲しかったのだ。そのためには、あの姉妹を殺さなければならなかった。彼女たちが結婚する前に、だ。

継父が通気口から隣室へと毒蛇を侵入させ、毒蛇はあのロープを伝ってするするとベッドまで降りる。継父は、毒蛇にミルクを与え、笛の音も駆使しながら、そんな曲芸ができるようになるまで訓練を施していたのだった。

今夜ホームズが杖であの毒蛇を激しく打ち据えたとき、蛇は怒り狂い、最初に目にした人間に牙を剥いた。今夜はそれがヘレンの継父であった、というわけである。

(「まだらのひも」終)